化学工学論文集
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化学プロセスにおける問題解決のための線形計画法の漸進的適用
PROLPの開発と応用
清水 良明
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1995 年 21 巻 3 号 p. 521-530

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抄録

線形計画法は古くから実用的な最適化手法として多くの分野で広く用いられてきている.しかし種々の意味で多様化の進行する近年の問題解決の要求に応じて複雑で多様化してきている問題設定にも柔軟かつ効率的に対応可能な解法の開発は極めて重要である.従来, 広く用いられてきたシンプレックス法の一つの新しい適用法であるPAPA法は, 変数に比べて制約式の数が多くなるような大規模な問題や, 最終解が得られるまで類似の問題を繰り返し解く必要がある場合に効果的な方法である.しかし特定の構造をもつ問題にのみ適用可能であるため, 本論文では, 求解効率と適用の柔軟性の向上に留意した新しい一般化法を開発し, 漸進的線形計画法 (Progressive Linear Programs, PROLP) と呼ぶことを提案する.PROLPの有効性は, ランダムに作成したテスト問題を用いて, 技法上同等の基準で作成した改訂シンプレックス法と求解効率を比較することによって数値計算的に検証した.また化学プロセスでの適用においては, 従来の経験則に照らして実行可能解や参考解があらかじめ予測できる場合が少なくない点などを指摘した上で本アルゴリズムの適用をより効果的とする具体的事例を示した.

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