1996 年 22 巻 3 号 p. 473-479
夜間の余剰電力を用い, エネルギーを高効率・高密度に貯蔵し, 昼間のエネルギー必要時に冷熱として取り出すことにより, ビル空気調和に利用し, 電力の負荷平準化に寄与するクラスレートを用いた蓄冷システムについて基礎検討した.これまでCFC (Chloro Fluoro Carbon) -11 (CCl3F) を用いて蓄冷システムの基礎特性に関する知見を得てきたが, 特定フロンのため今後使用が困難となるCFC-11に代わる媒体として探し出したHCFC-141bのクラスレートを用いた蓄冷方式について以下の知見を得た. (1) HCFC-141bのクラスレートを用いた蓄冷システムは氷蓄冷に比べ効率が高い. (2) 界面活性剤の添加により, 理想的なクラスレートの生成および分解が可能である. (3) 系内にエチレングリコールを添加することにより, さらに低温の冷水を取り出すことが可能である.