化学工学論文集
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湿式ボールミル中の鉛粒子による硝酸ナトリウム溶液の還元速度
菊池 和世内田 美穂吉岡 敏明奥脇 昭嗣
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1997 年 23 巻 4 号 p. 548-554

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抄録

NaNO3含有排水の処理を目的として, 湿式ボールミル中で鉛粒子によるNaNO3の還元を検討した. 本法では, 回転する鉛粒子同士の接触により, 表面に生成する酸化被膜を連続的に除去してNO3-を還元できる特徴がある.
5~80℃, NaNO3初濃度0.05~0.1M, 回転速度 ω80~180rpmにおいて, NO3-は速やかにNO2-に還元され, その後に徐々にN2又はNH3へ還元された. 10hでNO3-は32~100%NO2-に還元されたが, NO2-還元速度は小さくN2又はNH3生成率は最大で6%及び10%であった.そのときの沈殿物はPbOであり, 金属鉛は含まれなかった.
温度が高いとNO3-還元速度は増加した. 40℃以上ではNO3『濃度は0次的に減少し, 対照的にNO2-濃度が増加した. 還元速度がω1/2に比例したことから, 回転による鉛粒子上の被膜剥離が律速していると考えられる. 25℃以下ではNO3-還元速度は小さく, 未反応の鉛表面が残るため, 時間と共にNO3-濃度が低下すると小さくなった.

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