化学工学論文集
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分離膜を使用しない携帯型血液浄化装置の開発
山下 明泰崎山 亮一山口 清和東條 角治
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1998 年 24 巻 2 号 p. 233-237

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抄録

食用寒天ゲルまたは植物組織培養用ゲル (ゲルライト®) 中に活性炭や酵素を分散させた溶質除去装置を試作した.水道水 (または生理食塩水) に (食用または培養用) ゲルの粉末を加え, 1) そのままの状態, 2) 活性炭または, 3) ウレアーゼを分散させてから, 底板に小穴が開いたアクリル管中で固化させた (以下, 各々A型, AC型およびAU型モジュールと略).これらの寒天の長さ方向に小穴を21個あけ, 血液流路を確保した.クレアチニン, ブロモフェノールブルー (BPB), あるいは尿素の水溶液を疑似体液とし, 各モジュールの除去特性を評価した.BPB濃度はA型モジュールでは10%程度低下したが, AC型モジュールでは, 用いた活性炭量に応じた速度で低下した.AC型モジュールではクレアチニンとBPBの同時・緩徐・連続除去も可能であった.またAU型モジュールにより, 尿素の連続分解も可能であった.これらのモジュールと小型限外濾過器を組み合わせれば, 携帯型人工腎臓を構築できる可能性がある.

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