1999 年 25 巻 1 号 p. 51-58
通常, DTB型連続晶析器のモデル化や結晶粒径分布 (CSD) の安定化制御に関する研究では, 外部加熱器で微小結晶はすべて溶解すると仮定されている.しかしながら, 現実のDTB型連続晶析器では, 微小結晶の溶け残りが生じる場合がある.本報では, 微小結晶の溶解現象を考慮した外部加熱器のモデルを構築し, そのモデルを用いて微小結晶の溶け残りがCSDの安定化制御に与える影響について検討した.その結果, 微小結晶抜き出し流量を上げすぎると, 外部加熱器において微小結晶が溶けにくくなり, 溶解する微小結晶の量が逆に減少してしまうことがわかった.このため, これまで提案されてきた微小結晶抜き出し流量を操作量とするSISO制御系では, CSDをうまく安定化できない場合があり, 安定化させるためには, 微小結晶抜き出し流量に上限値を設ける必要があることを示した.また, オープンループのシミュレーション結果から, この上限値を推定可能であることを示した.