化学工学論文集
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コバルト被着型γ-Fe2O3磁性微粒子の湿式シリカ表面処理による磁気テープの滑り特性の改善
林 一之岩崎 敬介田中 泰幸森井 弘子
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1999 年 25 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

磁性微粒子を塗布した磁気テープの走行において, 磁気テープと磁気ヘッドとの間の滑り特性がしばしば悪くなる問題が生じる.本研究では, 水スラリー中における磁性酸化鉄微粒子表面へのシリカコーティングを行い, この表面改質した微粒子を塗布した磁気テープを作製し, 磁気テープの滑り特性に与えるシリカコーティングの効果を検討した.針状のコバルト被着型γ-Fe2O3磁性微粒子に対し, シリカをnmオーダーでコーティングすることにより, 磁気テープの動摩擦係数が0.4程度から0.2程度まで低減されることがわかった.これはシリカコーティングによって磁気テープ内に存在する潤滑剤成分のミリスチン酸の磁性微粒子への吸着量が減少するために, 磁気テープ表面の滑り特性に対して有効に働くミリスチン酸量が増大することによると推論された.また, 今回の検討範囲においては, シリカの表面処理により磁性微粒子の磁気特性や塗料分散性は損なわれておらず, 磁気特性と滑り特性の性能が同時に維持できる好ましい磁気記録媒体が得られることが明らかになった.

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