化学工学論文集
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CaO-Al2O3-CaSO4水和固化物からの鉛の溶出に及ぼすエトリンガイトおよびモノサルフェート生成の影響
松村 光夫山本 朋睦上宮 成之小島 紀徳
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1999 年 25 巻 5 号 p. 752-757

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抄録

ゴミ焼却灰, 石炭燃焼灰中には, 種々の有害重金属が含まれる.これらの金属は, 水和固化によりその溶出性が抑制されることが報告されている.典型的な水和物であるエトリンガイト, モノサルフェートは, 石灰, アルミナ, 石膏より形成される.これらの水和固化反応に寄与する成分は多くの廃棄物に含まれ, いくつかの廃棄物を適当な比で混合することで, 重金属の溶出を抑制することができるのではないかと期待される.本研究では, まず上記に示した純試薬を様々な比率で混合したのち養生し, 得られた固形物についてX線回折測定を行った.その結果, エトリンガイトについては, 石灰に対する石膏の比が大きくなるにつれピーク強度が増加した.モノサルフェートについては, 石灰 : アルミナ : 石膏の比が3 : 4 : 3のとき, 最も強いピークが見られた.ついで, これらの混合物に鉛を添加したときに得られる固化体からの鉛の溶出性について調べた.その結果, エトリンガイトが多く生成し, 溶出液のpHが12程度以下のとき鉛の溶出抑制効果が現れた.

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