1999 年 25 巻 5 号 p. 796-802
粉砕の進行を評価するために, 粒度分布を表す篩下累積頻度曲線において, 同曲線に沿って面積積分することにより定義する, 分布の先鋭度指標Ss*および代表径指標Ds*を提示した.両指標を用い幾つかの粒度分布形態の経時変化を検討したところ, 先にRosin-Rammler式による近似を介して定義した指標&およびDsでは, 充分に描写できなかった微妙な現象についてもより的確に表示できることが判った.ついで連続媒体撹拌ミル内の回転体形状と媒体の種類を変えた場合について, その粉砕進行状況の評価をSs*およびDs*を用いて行った.その結果アニュラー型の撹拌ミルを用いればタルクのような難粉砕性の粒子でも粉砕を進行させることができるが, 粒径分布はむしろブロードとなることが判った.また同撹拌ミルを用い, 炭酸カルシウムを試料とした場合には, ジルコニアビーズを用い, 回転体と撹拌ミルベッセル間のクリアランスを狭くし, 媒体粒子径を小さくした場合が最も良好に粉砕は進行することを, 両指標を用いて, より精度よく示すことができた.