化学工学論文集
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セルラーゼによる結晶セルロース分解過程での相乗効果に及ぼす基質の断片化の影響
田中 三男森田 正和三井 亮司
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2000 年 26 巻 3 号 p. 418-422

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抄録

MeicelaseCEP-6000から得られた主要セルラーゼ成分を用いて, 相乗効果の発現機構を検討した. 精製されたセルラーゼ成分は2大別された. 一方は, 結晶セルロース (MCC) 分解/CM-セルロース (CMC) 分解の活性の比が比較的小さく, MCCおよびCMC分解に対するKm値の比 (Km, MCC/Km, CMC) が相当に大きい仮称: CMCase的成分 (FIEとFIIIE) である. 他方は, それらの値が相当に異なっている仮称: MCCase的成分 (FIIEとFIVE) である. IVEのみによるMCCの加水分解では, 反応初期にMCC粒子径が低下 (断片化) するとともに粒子数が急激に増大し, 反応後期では粒子径の低下とともに粒子数が徐々に減少した. また, FIIIEのみの場合には, 反応初期から粒子径および粒子数が徐々に低下するのみであった. 上記2成分混合系ではFIIIEがFIVEのMCCの断片化作用を活性化させた. 即ち, 両成分の混合系で相乗効果が発現するのは, FIVEによる基質の断片化によるFIIIEに対する基質中の作用部位の増大のためであり, FIVEの作用はFIIIEにより活性化されることが明らかとなった. FIEとFIIIEの混合系で相乗効果が現れないのは, これらの成分にはMCCの断片化作用がないためと思われる.

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