化学工学論文集
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培養槽のスケールアップ: 工業生産用培養槽の仕様分析
村上 聖中野 隆盛松岡 達彦
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2000 年 26 巻 4 号 p. 557-562

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抄録

工業生産に使用されている培養槽の標準仕様を把握し, 従来法による培養槽のスケールアップの参考に供するとともに, 今後新規培養技術の開発を行う際の基礎を提供することを目的として, 現在までに実際に製作された480基の培養槽の基本仕様を統計的に分析した. 培養容量が数百立方メートルに至る工業生産用培養槽において, 最も標準的な仕様は, 高さ/直径1.8; 仕込量/全容量0.7; 伝熱面積/仕込液量5m-1 (大容量では1~2m-1); 撹拌動力6kw/m3 (大容量では2kw/m3); 翼間距離/翼径1.4; 翼径/槽径0.38; 撹拌翼周速5.5m/sである. また各仕様値と培養槽の容量との相関について分析した結果, 高さ/直径および撹拌翼周速は培養槽の容量と共に増加し, 伝熱面積/仕込液量, 撹拌動力および撹拌翼径/槽径は容量と共に減少することがわかった. これらの相関を分析したところ, スケールアップは撹拌翼周速の増加による剪断応力の増大を犠牲にしながらもk1αが一定になるように行われた場合が多いと考えられる結果を得た.

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