化学工学論文集
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垂直分割型抽出蒸留塔に関する解析
緑 静男鄭 双寧山田 幾穂
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2000 年 26 巻 5 号 p. 627-632

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抄録

垂直分割型カラム (Divided-Wall Column略してDWC) は1949年WrightとElizabethにより考案されて以来, 熱効率が高く, 省エネルギーが可能でコンパクトな構造として注目が集められてきた. そして, 筆者らの実績 (1996) を含め, 既にDWCは工業化に成功している. しかし, 今までのDWCの構造では, 共沸系あるいは近沸点物質系の分離に適用できず, 通常の3成分系を分離対象としていた.
本文では, DWCの概念を新規抽出蒸留法に適用できるように考案したと共に, プロセスのコンパクト性及び熱的インテグレイト性について通常の2塔方式と比較した. ここで, 考案したカラムはDWC-Eと称し, 以下の特徴を有する. すなわち, 1) 塔頂部から供給段と塔底部までの中間部は垂直分割板より分割されている, 2) 塔頂コンデンサー2基とりボイラー1基のみで, プロセスがコンパクトとなっている. さらに, アセトン/メタノール/水系の抽出蒸留プロセスを例としたシミュレーションを行い, 2塔方式と比較した結果, DWC-Eは最大36%まで省エネルギーが可能であることを示した.

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