脱脂乳のナノ 過実験を行った. さらに, 塩類の阻止率について「拡張されたNernst-Planckの式」に基づく解析を行った.
塩を構成している主要な物質の見かけの阻止率は次の通りであった. NaとK: 50~60%, Cl: -5~15%, Ca, MgおよびP: >97%. 牛乳中ではCaとMgの大部分はリン酸やクエン酸と結合していて, それらが膜の篩い分け効果によって阻止され, その結果CaとMgの阻止率が高くなったと考えられる. また, 透過液では電気的中性の条件が, 溶質透過流束では電流0の条件が成立することが確認された.
解析では次のような仮定を設定した. 1) Na, K, Cl以外の溶質は篩い分け効果により完全に膜に阻止される. 2) タンパク質等の膜を透過できない荷電物質は脱脂乳側で固定電荷として作用する. 解析結果より求められたNa, K, Clの阻止率は実測値とよく一致した.