1993 年 41 巻 10 号 p. 662-666
高校の化学の教科書を見ると, 化学を「目的」にする人達のために書かれた本ではないかと筆者には思える。つまり, 化学者の養成のための本ではないかということである。しかし, 世の中の人の大部分は, 化学を「手段」とし, より豊かな生活の中に化学を活かそうとする人達である。地球環境の諸問題を解決しようとする時, 化学は極めて重要な手段である。ところが, 日本では, この問題に化学を使って立ち向かおうとする若手研究者はあまり多くない。その原因の一端が, 上記の高校における化学教育にあるのではないかと考え, その解決策を探ってみる。(平成2年8月2日開催の北海道地区化学教育研究協議会で講演)