有機化学は「暗記モノ」「覚えなきゃ」的要素が多く論理的思考から縁遠いと勘違いされ,何となく敬遠されがちな領域である。そのときこそ「なぜ?」「何が起こっている?」を一歩踏み込んで考えてみよう。
高等学校の教科書(有機化学の部分)に掲載されているベンゼンをはじめとする芳香族化合物について基礎と応用の両面から解説する。いわゆる芳香族性のため,ベンゼンの反応性は著しく低く,ゆえに安定である。ベンゼン誘導体の安定性,構造的な特徴および主な反応とその反応機構について述べる。
高等学校で扱われる有機化学における酸化反応や還元反応について概説する。本稿では,反応を受ける基質として,アルケンやアルキンの炭素—炭素不飽和結合,アルコールやアルデヒド,ケトンおよびカルボン酸などのカルボニル化合物関連,クメンといった飽和炭化水素を扱う。
カルボン酸もしくはカルボン酸塩化物とアルコール/フェノールもしくはアミンとの縮合反応によりエステルやアミドが得られる。一方,エステルやアミドは,水存在下,酸や塩基の作用により加水分解反応が起こり,元のカルボン酸とアルコール/フェノールもしくはアミンに戻る。これらの反応がどのように起きているのか,またこれらエステルやアミドが人間生活や生命活動にも大きく関わっていることについても触れる。
身近なプラスチックであるポリオレフィン(ポリエチレン・ポリプロピレン)について3回に分けて紹介する。第1回は,ポリエチレン・ポリプロピレンの誕生から工業化までの歴史についてまとめる。エチレンの高圧ラジカル重合,フィリップス触媒,チーグラー・ナッタ触媒の発見により,ポリオレフィンは誕生し工業化された。
身近なプラスチックであるポリオレフィン〔ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)〕について3回に分けて紹介している。第2回は,1930年代に工業化が始まったポリオレフィンの成長についてまとめる。フィリップス触媒,チーグラー・ナッタ触媒を中心とする触媒技術や重合技術の進化により,低コスト化・高品質化・高性能化が進み,現在では世界で最も用いられるプラスチックに成長している。
身近なプラスチックであるポリオレフィン〔ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)〕について3回に分けて紹介している。第3回は,新触媒であるシングルサイト触媒の開発と展開およびサーキュラー・エコノミーやカーボン・ニュートラル時代のポリオレフィンの製造についてまとめる。