衣類,乗り物,建物,文房具等に使用されている色や蛍光色は,常にそこに存在している。一方,テレビ,パソコン,携帯電話のディスプレイは,電源を入れると色や蛍光色が出現し,何らかの操作をすることで様々に変化する。このような色や発光色は色素という分子によって発現しており,その化学構造に起因している。本稿では色素分子の化学構造と色の関係性について解説し,従来の染料・顔料から情報記録・表示,エネルギー変換や医療診断・治療に利用される機能性色素への変遷と生活を快適にする身近な機能性色素材料について紹介する。
本稿では,物質の微細な構造によって生じる構造色について説明する。多くの人は構造色を認識していないが,自然界では大きな役割を果たしている。構造色の可能性を知れば,きっと多くの人がその可能性を理解してくれるのではと考えて執筆した。
本稿は,化学を含む理科を中心に,高校卒業時までに学習する色に関することを紹介しながら,色彩科学の側面から,教科としての「化学」における色の扱いについて論じることを目的とした。特に,色覚多様性の視点から,炎色反応とpH試験紙の色の見え方について論じた。
シス—トランス異性体は高校化学にて立体異性体に名前がついた異性体の種類の1つである。数年前までは幾何異性体とも呼ばれていたが,新課程以降シス—トランス異性体と統一することとなった。本稿では新課程以降に必ず登場することとなるシス—トランス異性体とは何かについて解説する。また,そのシス—トランス異性体は実際の有機合成ではどのように作り分けられるのかを詳述する。
シス—トランス異性体は,主に炭素・炭素(C=C)や窒素・窒素(N=N)などの二重結合まわりの構造異性体であり,シス体とトランス体との間で分子の形や極性,双極子モーメントなどが大きく異なる。生理活性物質の中には,シス—トランス異性体間で標的生体分子に対する活性が大きく異なるものが知られており,最近ではシス—トランス異性化を,時空間分解能に優れた「光」で制御することで,望みの生命現象を自在に操作する「光薬理学」などの新たな方法論も開拓されている。
高専生の友樹君はシス—トランスの概念については比較的わかりやすく,二重結合との関連で理解しているつもりだったが,なぜこの概念が高分子化学の授業でしっかり詳しく取り上げられていたのか,理由がわかっていなかった。化学クラブの部員でもある友樹君は,部活顧問でもある化学の青山先生に疑問をぶつけてみた。