1993 年 41 巻 6 号 p. 389-393
薬というと複雑な化合物を連想される方も多いと思われるが, 実際には私たちの身近に存在する基本的な化学物質をそのまま薬に応用していることも少なくない。また, 単純な化学物質を薬の有効成分として活用するために, それらを構造上に含む新たな化学物質を合成し生体に作用しやすいように加工して, 初めて世に出た薬も多い。そこで, こんなものがと思われるような化学物質の中から, 現在, 薬として繁用されているものについて, 発見や応用の歴史をまじえて紹介したい。