1998 年 46 巻 10 号 p. 632-635
従来の高校教科書では電池の項の説明をボルタ電池から始めるものが多い。しかしボルタ電池は, 歴史的な立場はともあれ, 実際は非常に複雑な現象を含むものであり, また安定した起電力を保つことも難しいものであって, これを電池の話の導入に用いることは無理がある。またそのためか, 従来の教科書のボルタ電池の説明には誤りが多く, 化学教育上必要のない, 複雑で末梢的な記述が多い。電池の仕組み, 特長を教えるには, ボルタ電池はやめにして, ダニエル電池などを導入に用いることを勧めたい。