1998 年 46 巻 11 号 p. 688-691
現代は「高分子時代」ともいわれ, ポリスチレン, ポリエチレンなどの合成高分子は日常生活に不可欠な材料となっている。これらは, ビニルモノマーの付加重合により合成されるが, これまでの重合方法では分子量のそろった高分子を合成することは容易ではなかった。しかし付加重合においても, 副反応が起こらない「リビング重合」を用いると, 厳密に制御された分子量と構造をもつ高分子を精密に合成することができる。ここでは, リビング重合の開発と精密付加重合による分子量のそろった高分子の合成について解説する。