産業革命以来, 急増した人口の食糧確保のために, 空中窒素を固定する技術開発が待望され, その期待に応えて電弧法, 石灰窒素法が工業化された。三番目に工業化された水素と窒素からのアンモニア直接合成法がその決定版であり, 20世紀初頭を飾る最大の革新技術と称賛され, これで地球上から飢えが追放できると喜ばれた。アンモニア合成法はその後の装置工業のルーツとなり, 尿素合成, メタノール合成, 石炭液化, ガソリン合成などの高圧化学工業を開花させた。現在の石油化学工業もその流れの一つであり, アンモニア合成法の工業化は単に空中窒素の固定に止まらず, 化学工業の発展に大きく貢献した。