1999 年 47 巻 4 号 p. 242-244
界面活性剤溶液の濃度を高くすると, ミセルが集合して液晶構造を形成する。類似の液晶構造は, 神経細胞をつつむミエリン鞘など生体内にも見られる。界面活性剤の液晶に関する研究は病理学者ウィルヒョウ(R. Virchow)によるミエリン鞘の液晶の観察(1854年)に端を発する。液晶の研究の始まりとされるコレステリック液晶の発見の34年も前のことである。本稿では, 界面活性剤の液晶でよく観察されるラメラ相, ヘキサゴナル相, ネマチック相, ゲル相の構造を紹介する。