化学と教育
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抗体触媒(免疫と化学)
藤井 郁雄
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2001 年 49 巻 7 号 p. 406-410

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抄録

免疫学は歴史的にみて, 免疫応答の調節機構や抗原抗体反応の分子認識をその研究対象としてきた。ところが, この15年の間に免疫学は, 有機化学との学際領域に新しい研究分野を展開し始めている。天然酵素が化学反応の遷移状態と結合し安定化することによって触媒機能を発揮しているように, 化学的に安定な遷移状態アナログを抗原として得られる抗体タンパク質は, 遷移状態と結合して触媒機能を獲得するようになる。ヒトやマウスの体内には多種多様な抗体のレパートリーが備わっているので, この方法を使えばテーラーメイドの生体触媒の設計が可能になる。

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© 2001 公益社団法人 日本化学会
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