電波天文学の発展に伴い, これまでに発見された星間分子は120ほどにもなる。日本の研究者が発見した星間分子は17であり, 1980年代以降に発見された分子の約半数を見つけたことになる。星間分子は気相におけるイオン分子反応や星間塵表面反応により生成されると考えられ, 数10Kという極低温, また標準状態の1兆分の1程度の極低密度という極限状態に特異な化学を反映した短寿命分子が数多く見られる。しかしそのような環境にも関わらずダイナミックな化学反応が起きており, その研究からは私たちの「常識」を覆(くつがえ)す事実も次々と見出されている。