2002 年 50 巻 12 号 p. 802-804
平成13年度, 北海道地区で実施した「高校生のための化学」の出前授業では, 歴史的価値のある養蚕, 藍染めにおける「カイコ」, 「すくも(藍の生葉を発酵させたもの)」を素材に取り上げた内容を展開した。カイコを用いた実験では, 普段の授業や教科書ではあまり事例のないものを紹介し, また藍染めにおいては, 高校化学の酸化・還元と関連させながら, 発問をなげかけ実験を進める方法を導入した。その結果, 歴史的価値のある内容の教材化と, 実験に発問, 討論, 発表を取り入れる展開は, 授業を楽しく体験させるだけにとどまらず, 論理的な思考力や化学への興味・関心をより一層引き出すことが感想よりわかった。このような取り組みが21世紀の化学者を育てるための1つの方法として期待できるものと考え, これを紹介する。