化学と教育
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超分子化学は何を目指すか(超分子の化学)
菅原 正松下 未知雄
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2002 年 50 巻 2 号 p. 94-97

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抄録

複数の分子が, 分子間力で自己集合化して構築する一定の構造と組成をもった構造体を, 超分子という。近年, 生体系のもつ高次な機能を超分子でモデル化し, その機能を分子論的に解明しようという研究が進み, ベシクルを用いた人工複製系, クラウンエーテルやカリックスアレンを用いたイオン輸送系, 有機強酸の含水結晶を用いたプロトン輸送系などが構築され, 大きな成果が得られつつある。一方, 特色あるπ電子系をもつ有機分子を自己集合化して, 人工的な機能・物性を有機分子性結晶で実現する研究も, この間目覚ましい進展を遂げ, すでに有機合成金属, 有機超伝導体, 有機強磁性体などが誕生した。各々の機能を担った複数の部位(ユニット)を共有結合でつないだ巨大分子(超構造分子)を合成し, 単分子で超分子的機能をもたせる研究についても最後に紹介する。

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© 2002 公益社団法人 日本化学会
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