2004 年 52 巻 1 号 p. 10-13
生体内のアミノ酸はすべてL-アミノ酸であると信じられてきたが,近年のアミノ酸の光学異性体分析の進歩に伴い,生体内D-アミノ酸の存在が遊離,結合型を問わず広く知られるようになってきた。本稿ではまず,眼の水晶体タンパク質中にD-アスパラギン酸(D-Asp)が蓄積され,老化と共にその量が増加していることを紹介し,タンパク質中では体温のような低い温度であっても比較的容易にD-Aspが生成されるという機構を示した。また,最近,我々は老化した皮膚や紫外線被爆した皮膚にもD-Aspを見いだした。D-Aspは老化や紫外線損傷の分子マー力一として有用であると期待される。