化学と教育
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氷を反応場とする高圧有機合成の有用性(ヘッドライン:注目される新しい化学反応場,反応媒体)
林 雄二郎
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2004 年 52 巻 8 号 p. 516-519

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抄録

高圧は一気圧下の反応と異なる特徴を有し,また高圧下では多くの有機反応が加速されるため,高圧は有機合成の手法としてたいへん興味がもたれている。一方,水は氷になる際に体積が約一割増大し,変形しない容器中で水を凍らせると-20℃で2千気圧の内圧が得られる。簡便に得られる高圧を有機合成反応の反応場として利用することを考え,アルコールのα,β-エノンへのマイケル付加反応,バイリス-ヒルマン反応において収率の向上,反応の加速を見いだした。また,プロリンを用いる不斉触媒アルドール反応,マンニッヒ反応では高圧により収率が向上するだけでなく,低温により不斉収率が向上することを明らかにした。

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© 2004 公益社団法人 日本化学会
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