化学と教育
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コーヒーの風味向上の研究 : 脱酸素いれたてパック製法の開発(ヘッドライン:食品の品質と酸素)
小杉 浩章
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2007 年 55 巻 11 号 p. 542-545

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抄録

香り豊かなコーヒーは,私たちにリラックスしたひと時を与えてくれる代表的な嗜好飲料の1つである。特に日本では,缶コーヒーとしてどこでも手に入る形態で流通されていることもあり,身近な飲料品といえる。しかし,コーヒーの香りや味わいは繊細で,酸素や熱に大きく影響されることが知られている。従来の缶コーヒーの製造工程では,風味の劣化要因となる酸素や熱は完全には排除しがたい状況であった。そこで我々は,酸素,熱による風味への影響を最小限にするため様々な検討を行った。その結果,(1)製造工程中で酸素を窒素に置換すること,(2)超高温短時間殺菌処理,無菌充填をすること,(3)コーヒーとミルク成分とを分け,それぞれ適切な温度で殺菌処理すること,これら3点を組み合わせて,缶コーヒーの品質向上をおこなっている製造プロセス「脱酸素いれたてパック製法」(エンブレム製法)を紹介する。

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© 2007 公益社団法人 日本化学会
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