化学と教育
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水素分子をつくるタンパク質(講座:周期表を読む3-水素-2)
伊原 正喜
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2008 年 56 巻 1 号 p. 32-35

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抄録

ヒドロゲナーゼは,水素をプロトンに分解し還元力を取り出す反応と,プロトン還元反応によって水素を合成する反応を触媒する蛋白質である。水素は次世代のエネルギー媒体として期待されていることから,ヒドロゲナーゼの触媒能に注目が高まってきている。ヒドロゲナーゼはニッケルや鉄というありふれた金属で効率的な触媒活性を実現しており,ヒドロゲナーゼの反応機構を参考にすることで,安価で効率的な燃料電池が実現するかもしれない。また,ヒドロゲナーゼを利用して水素生産する場合は,ヒドロゲナーゼへの電子供与が問題となる。一つの方法として,電子の供与元を微生物の光合成系に求め,微生物内で太陽エネルギーを効率よく水素エネルギーへと変換する研究が行われている。以下では,これらの最新の研究例について紹介する。

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© 2008 公益社団法人 日本化学会
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