2011 年 59 巻 1 号 p. 30-33
水素自動車の一部の安全対策を取り混ぜながら,(財)日本自動車研究所で実施した水素自動車の火災時の振る舞いやガソリン車火災との比較および水素漏洩着火試験の結果を紹介し,危険なガスとイメージされる水素ガスを見直してみる。たとえば,水素火炎は視認できないため,消火活動に支障を来すとされるが,実際の火災時には水素火炎を視認することができる。また,水素は少量でも漏れたら危険だというイメージがあるが,実験の結果,自動車の構造上,容易に水素を溜めることができないことや,エンジンルームコンパートメント内では,濃度20%程度で着火させても一瞬燃えるだけで,損傷がないことなどを紹介し,水素の安全性について見直してみる。