2015 年 63 巻 3 号 p. 144-145
お米の食味は,専門の検査官が実際に炊飯したお米(ご飯)を食べ,外観,味,香り,硬さ,粘りの5項目とその総合値で判定する食味官能検査が検査機関によって行われている。一方,栽培現場では,食味計と呼ばれる計測器を用いて,玄米や精白米中のデンプンやタンパク質などの食味関連成分の分析と,米粒の物性測定などを行い,食味計メーカーが作成した計算式に当てはめて食味値を算出している。近年,消費者の良食味米志向を受け,人が判定する官能検査と機器計測による食味値を関連付けて評価できないのかという要求が高まってきている。筆者らは,これまでに米粒中のタンパク質の分析を行い,米に含まれるタンパク質と食味との関連性を調査してきた。本稿では,そこから得られた最新の知見について紹介する。口絵8ページ参照。