2020 年 68 巻 6 号 p. 268-269
反芳香族化合物は不安定な化合物であるが,それを上下に接近させて重ねると芳香族化合物になり,安定化することが分かってきた。これまで,芳香族性の起源は二次元的なπ電子の広がりであると考えられてきた。しかし最新の研究により,2つの分子の間の三次元的なπ電子の広がりによっても芳香族性が生じることが示された。また,反芳香族化合物が芳香族化合物よりも互いに接近しやすいことも分かってきた。分子が近づいて電荷が移動しやすくなるため,有機半導体などへの応用が期待される。