2021 年 69 巻 8 号 p. 344-347
通常は反応性に乏しい炭素-水素結合を切断し,望みとする官能基へと直接的に変換する反応は,C-H活性化やC-H官能基化と呼ばれる。従来はパラジウムやロジウムなどの高価な金属触媒が利用されてきたが,近年ではより安価で入手容易な金属の利用が進んでいる。3価のコバルト触媒はロジウム触媒の代替として研究が開始され,その後コバルトの性質を活かした独自の反応の開発が行われてきた。また,ごく最近では触媒的不斉合成反応への応用も達成されている。本稿ではそれら高原子価コバルト触媒を用いたC-H官能基化の発見から最近の研究成果までを概説する。