日本東洋医学雑誌
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臨床報告
防已黄耆湯の使用目標に関する一考察
関矢 信康檜山 幸孝並木 隆雄笠原 裕司地野 充時林 克美小暮 敏明巽 武司柴原 直利喜多 敏明平崎 能郎寺澤 捷年
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キーワード: 防已黄耆湯, 風湿, 風水, 脈診
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2008 年 59 巻 4 号 p. 623-631

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抄録

防已黄耆湯は『金匱要略』を原典とする処方で,水太り体質を目標に肥満,浮腫,関節炎等に用いられてきた。我々は,その条文にある風湿あるいは風水と考えられる症候を目標に防已黄耆湯を投与して奏効した5症例を経験した。これらの症例では自覚的に汗をかきやすい・盗汗,身体の冷えおよび夕刻の症状悪化が共通しており,他覚的には脈状が浮・弦・渋,右寸口の緊張が弱いことが共通していた。この経験を基に,これらの症候を満たす10症例に防已黄耆湯エキスを投与したところ,8例で有効であった。このことから本方証の決定に当っては,風湿・風水の病態を念頭に置いた問診と特徴的な脈状が重要であると考えられた。

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© 2008 一般社団法人 日本東洋医学会
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