日本東洋医学雑誌
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臨床報告
経過中黄連解毒湯による肝障害を発症し,桂枝茯苓丸が卓効したベーチェット病の1例
永井 良樹増田 寛次郎
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2009 年 60 巻 5 号 p. 527-531

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抄録

桂枝茯苓丸が卓効したベーチェット病の65歳の男性例を報告する。患者は38歳の時眼痛,ぶどう膜炎を発症,ベーチェット病と診断された。一年余りの後,潰瘍性の舌炎を発症,ベーチェット病の一症状と診断された。56歳の時足関節に関節炎が発症,ついで口内炎,舌炎を発症,コルヒチンとサイクロフォスファマイドが投与された。その後,口内アフタ性潰瘍,関節炎を繰り返し発症した。西洋医薬に抵抗する難治の口内潰瘍を発症したため,漢方治療を紹介された。桂枝茯苓丸が投与され,難治の口内潰瘍は完全に消失,関節炎に襲われることもなくなった。患者はベーチェット病の諸症状から解放された。
ベーチェット病を治療するにあたり,桂枝茯苓丸の使用が考慮されなければならない。
また,治療初期に,黄連解毒湯によると思われる肝障害が発症した。肝障害は黄連解毒湯を中止することによって消失した。薬剤疫学的に,黄連解毒湯に含有される黄芩が原因として疑われる。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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