日本東洋医学雑誌
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臨床報告
柴胡含有方剤の投与後に筋緊張亢進,興奮,不眠を認めた重症心身障害児および発達障害児の7例
平岩 久幸平岩 里佳伊達 伸也崎山 武志
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2010 年 61 巻 1 号 p. 36-44

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抄録

重症心身障害児4例,発達障害児3例で喘息や問題行動などに対して柴胡を含む方剤を投与したところ,発熱,咳嗽,食欲不振,倦怠感などは改善したが,筋緊張亢進,興奮,不眠を訴えた症例を経験した。柴朴湯を内服しても特に問題のない重症児3例と比較すると,言葉によらない意志疎通,すなわち発声や動作・表情の変化などの対人反応が良好で,アテトーゼなどの不随意運動に伴って,筋トーヌスの亢進が目立っていた。抑肝散を使用した発達障害児の2例では,多動,興奮,衝動的な言動が目立ち,のぼせ,ほてりなどの熱証や肝陰不足への配慮が足らなかったことが推測された。柴胡含有方剤の中枢神経系に対する薬理作用について考察し,今回みられた症状は有害反応と考えられた。障害児・者に対する漢方治療には,慎重な診察を心がけること,保護者の心身の状態にも配慮することも重要と思われた。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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