日本東洋医学雑誌
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臨床報告
めまいに対して沢瀉湯が奏効した3症例
及川 哲郎米田 吉位玄 世鋒猪 健志八代 忍高橋 裕子橋口 一弘滝口 洋一郎花輪 壽彦
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キーワード: めまい, 沢瀉湯
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2010 年 61 巻 3 号 p. 331-336

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抄録

日常診療でめまいを訴える患者は多いが,標準的治療は確立されていない。今回,沢瀉湯の投与でめまいが改善した症例を提示する。症例1は38歳,女性。2年前から船酔いのようなめまいが出現,最近になり悪化した。沢瀉湯を処方,1カ月後めまいは改善した。咽中炙臠を訴えたため半夏厚朴湯加蒼朮沢瀉に転方,約2カ月後めまいはほぼ消失した。症例2は61歳,女性。4カ月前にもめまいがあった。MRIで異常なく症状も軽快していたが,数日前動揺性めまいが出現した。沢瀉湯を処方,1カ月後めまいは消失した。症例3は67歳,女性。2カ月前から仰臥位などで動揺性めまいが出現,良性発作性頭位変換性めまいと診断され投薬を受けたが改善しない。沢瀉湯3倍量を処方,1カ月の服用でめまいは著明に改善し,耳科的検査所見も改善した。沢瀉湯は,西洋医学的治療で改善しないめまいに対しても有効例があり,積極的に使用されてよい処方の一つと考えられる。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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