日本東洋医学雑誌
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臨床報告
少数配穴の鍼治療で著効を得た線維筋痛症の一例
大八木 敏弘西川 順子大沢 正秀
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2010 年 61 巻 5 号 p. 708-717

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抄録

線維筋痛症と診断された患者に対して,四診により証を明確にして鍼治療のみを行い,胸背部の疼痛,発熱,不眠症状の軽減とQOLの改善をもたらすことができた。
症例は35歳女性。仕事上の精神的,肉体的ストレスが持続した後,胸背部の疼痛及び発熱が発症し入院するが,精密検査では異常はみられず経過観察となった。次第に痛みが激しくなり,大学病院で線維筋痛症と診断されたが,東洋医学的治療を希望し当院を受診した。肝鬱気滞,気滞血瘀,気鬱傷陰と弁証し神道穴及び照海穴の少数配穴による鍼治療を行った。痛みは37診以降には3割程度になり,発熱も消失し,91診時には痛みは気にならない程度になった。Fibromyalgia Impact Questionnaireは初診時の78から17カ月後の82診時には23に改善され,線維筋痛症に対して鍼治療のみで著効を得ることができた。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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