帯状疱疹後神経痛(PHN)の2症例に対して烏頭剤にて加療を行った。この2例は烏頭剤の投与によりPHNが改善し,中断により再発,再投与で再度改善するという経過をとった。症例1は76歳男性で右L2‐3領域のPHNに対して烏頭桂枝湯を投与し疼痛の軽減を得た。後に桂枝加苓朮附湯に変更したところ,2日後より疼痛が再び悪化し,烏頭桂枝湯を再開して疼痛は再度消失した。症例2は82歳男性で右C4‐5領域のPHNに対して烏頭湯を用いた。疼痛の軽減を得たためツムラ桂枝加朮附湯エキス顆粒に変更したところ,1週間後には疼痛が再増悪し,烏頭湯を再開して再度疼痛は軽減した。この2症例の経過から(1)PHNに対して烏頭剤は有効であり(2)その効果は標治的である可能性が示唆された。烏頭剤の中止や烏頭の漸減を考慮する上で示唆に富む症例と考え報告した。