日本東洋医学雑誌
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総説
盗汗病態理論の史的変遷
三浦 於菟松岡 尚則河野 吉成板倉 英俊田中 耕一郎植松 海雲奈良 和彦芹沢 敬子中山 あすか橋口 亮福島 厚小菅 孝明斉藤 輝夫
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キーワード: 盗汗, 医史学
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2012 年 63 巻 1 号 p. 1-14

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抄録
盗汗病態理論の史的変遷を中国医書に基づいて検討した。隋代まで,盗汗と自汗の病態は同様であり,主に体表の気虚によって出現すると考えられていた。唐代には,盗汗と自汗の病態の相違性が指摘され,盗汗は熱によって出現するとされた。宋金代には,血虚や陰虚の熱が盗汗を出現させるとされた。金代には,寒邪などの外邪によっても盗汗は起こるとの実証盗汗理論が提唱された。元代と明代の初期には,盗汗は陰虚,自汗は陽虚という学説の完成をみた。明代中期には,盗汗は陽虚でも出現する事があり,病態によって盗汗と自汗を把握すべきだという新学説が登場した。清代には,外邪のみならず湿熱,食積,瘀血によっても盗汗は出現するという実証の盗汗,部位別盗汗病態などの新しい学説が登場した。また温病盗汗は傷寒とは異なり陰虚によるとの学説もみられた。盗汗学説は古きに知恵を求めながら発展したといえる。
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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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