日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
論説
一漢方専門施設における漢方医学的所見の平準化の試み
花輪 壽彦小田口 浩若杉 安希乃伊藤 剛及川 哲郎鈴木 邦彦早崎 知幸齋藤 絵美五野 由佳理
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 64 巻 6 号 p. 344-351

詳細
抄録

漢方医学的診断の基礎となる漢方医学的所見の平準化は重要な課題である。しかし現状では,漢方医学的所見の判断基準や採取方法は多様で,最終的な採取結果にばらつきが生じている。
我々は施設内で漢方医学的所見の平準化を図る試みを実施しているので紹介する。まず我々が着手したのは言葉による平準化である。施設内の漢方指導医・専門医9名の合議により,問診上の自覚症状・他覚所見(舌診,脈診,腹診)の各々について,対象項目の選択,対象項目の判断基準,付随事項に関する決定を行った。決定に当たっては,主要な古典の記載を重視すること,現代の一般臨床家に受け入れられやすい内容にすること,判断基準を明確にすることに留意した。
問診上の自覚症状は120項目を選択した。他覚所見は,舌診所見12項目,脈診所見6項目,腹診所見10項目を選択し,それぞれについて判断基準を定めた。
今後は漢方医学界全体での平準化が議論となることを期待している。

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top