日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
難治性疼痛に対して大烏頭煎を使用した3症例,および煎液中と血清中のアコニチン類濃度の検討
伊関 千書藤田 友嗣佐橋 佳郎金子 明代鈴木 朋子竹重 俊幸古田 大河鈴木 雅雄遠藤 重厚三潴 忠道
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 67 巻 4 号 p. 376-382

詳細
抄録

2013年に当施設では,45歳女性,76歳男性,80歳男性の3例の難治性疼痛に対し,大烏頭煎(烏頭0.5—2g)を頓服させ,数分以内に疼痛緩和しえた。3症例で,裏寒の存在が共通した。煎液中と45歳女性における大烏頭煎内服後の血清中アコニチン類濃度を液体クロマトグラフ質量分析装置により測定した。大烏頭煎のアコニチン類含有量は烏頭1g当たり換算で,aconitine1.28μg,mesaconitine2.31μg,hypaconitine92.89μgであり,通脈四逆湯に比べ5—35倍であった。大烏頭煎頓服1時間後に血清中アコニチン類濃度のピークが認められた(hypaconitine 1.11ng/mL)。大烏頭煎頓服後の即効性からは,経粘膜吸収の機序が想定されるものの,少なくとも烏頭・附子剤の安全な運用を検討する際には,アコニチン類の血清中濃度が一助となる。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top