日本では,灸治療で使用する透熱灸などの直接灸用のモグサは精製度が高く,独自の製法で製造されてきた。中国などでは,棒灸など間接灸が主流のため,簡易な製法で,低精製モグサが製造されてきた。近年,中国でも,高精製モグサが製造され,日本産モグサとの違いが分かりにくくなってきた。
そこで,日本の臨床家に,製造国が分からないようにし,中国産と日本産の高精製モグサを提示し,違いをどの様に感じるかを評価用紙に記述してもらい比較検討した。有効回答数は,265名中164名(61.9%)。2種類のモグサの違いについて,54.9%の人が総合的に見て「少し違う」と回答したが,「使い勝手がよい」,「使いたい」が多かったのは日本産だった。施灸した119名中「心地よかった」を選択したのは,日本産が85名(71.4%)であった。
日本の臨床家は,日本式の製造技術で精製したモグサが日本の治療法に適していると感じていた。