2016 年 67 巻 4 号 p. 413-418
医療用漢方製剤の当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効能の一つに凍瘡(しもやけ)がある。凍瘡は寒冷な環境で見られるありふれた病症であり,この病症が末梢の血流低下と関連することは既に記されている。しかし,これに伴う炎症機転がどのようなものであるかについては不明であった。筆者は最近の免疫学が提唱している自然炎症の視点からその発症機序を推測することを意図した。凍瘡は細静脈の微小血栓を伴い,虚血にさらされた血管あるいは細胞から放出されるサイトカインにより起こるものであろうと考察した。