日本東洋医学雑誌
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臨床報告
慢性坐骨神経痛に対する麻杏薏甘湯加桂皮附子の有効性
中島 啓次藤田 正
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2020 年 71 巻 3 号 p. 213-218

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抄録

我々は過去1年間に慢性坐骨神経痛患者に対して麻杏薏甘湯加味方(麻杏薏甘湯エキス剤7.5g+桂皮末1g+附子末0.5g~1.5g)を投与した14症例を検討した。その下肢痛を Numerical Rating Scale で評価した。有効症例は男性6例,女性5例の11例(79%)で平均年齢は69歳。無効症例は男性2例,女性1例の3例(21%)で平均年齢77歳であった。9例は麻杏薏甘湯加味方を処方する前にプレガバリンを投与されていたが無効であった。そのうち7例は麻杏薏甘湯加味方の方が有効であった。さらに有効症例11例中10例は1年間以上にわたり経過を観察することができた。1例は汗の副作用で中止したが,2例は麻杏薏甘湯加味方を中止しても完治した。2例は引き続き副作用なく服薬中である。5例は途中,麻杏薏甘湯を薏苡仁湯に変え,麻杏薏甘湯加桂皮附子にしたが,その効果に明らかな差は認められなかった。

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