2020 年 71 巻 4 号 p. 362-367
奔豚病と捉えたRestless legs syndrome(以下,RLS と略す)に呉茱萸湯と苓桂朮甘湯の併用が奏功した2例を経験した。症例1は88歳女性。76歳時に冠動脈バイパス術を受けて以降,RLS を自覚するようになった。腹診では心下痞鞕,臍上悸を認めた。腹診所見と,虚証,冷え,気虚,気鬱より肘後備急方奔豚湯証と考え,呉茱萸湯と苓桂朮甘湯を併用した。痞えは消失し,RLS も自覚しなくなった。症例2は62歳女性。54歳時に左乳がんのため手術を受けた。治療後,就寝時に RLS を自覚するようになった。腹診では心下痞鞕,臍上悸,小腹不仁を認めた。 やや虚証,冷えのぼせがあり,気虚,気鬱より肘後備急方奔豚湯証と考え,呉茱萸湯と苓桂朮甘湯を併用した。痞えは消失し RLS も軽減した。侵襲的治療による精神的負荷後に出現した RLS に対し呉茱萸湯と苓桂朮甘湯の併用は有用な選択肢と考える。