日本東洋医学雑誌
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論説
「生姜」と「乾姜」の定義について江戸時代と現代日本漢方での違いとその経緯についての一考察
小池 宙松岡 尚則笛木 司牧野 利明
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2020 年 71 巻 4 号 p. 406-417

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抄録

[緒言]昭和時代の漢方家,荒木性次や大塚敬節は,新鮮なショウガ根茎を「生姜」,湯通し等の修治を経たものも含めて乾燥させたショウガ根茎を「乾姜」としていた。しかし,現代の漢方では,修治をせずに乾燥させたショウガ根茎を「生姜」,蒸すという修治を経た乾燥ショウガ根茎を「乾姜」とすることが多い。本研究は,この変遷の経緯について明らかにすることを目的とした。[方法]明治以降に版を重ねている歴代の『日本薬局方』の他,「生姜」と「乾姜」の定義に言及している文献を調査した。[結果]昭和までの漢方では,「生姜」と「乾姜」は,それぞれ「新鮮ショウガ根茎」と「修治されていないものも修治されているものも含めた乾燥ショウガ根茎」であった が,平成以降はそれぞれ「乾燥以外に加工されていない乾燥ショウガ根茎」(乾生姜)と「修治された乾燥ショウガ根茎」に変わり,新鮮ショウガ根茎は「ひねショウガ」と別に呼ばれるようになった。

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© 2020 一般社団法人 日本東洋医学会
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