日本東洋医学雑誌
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調査報告
医学部5年生の鍼灸実習におけるアンケート調査
―実習前後での検討―
森田 智村上 綾平地 治美渡邊 悠紀中口 俊哉越智 定幸奥平 和穂平崎 能郎並木 隆雄
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2023 年 74 巻 2 号 p. 175-179

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抄録

短時間の鍼灸実習が与える教育効果を明らかにするため,病院実習中の医学部5年生112名を対象に,体験を含む1時間の鍼灸実習および実習前後でのアンケート調査を実施した。全10項目のうち8項目において,実習後に「はい(思う)」の割合は有意に大きく,ポジティブな変化が得られた。実習前と後の変化幅が大きく現れた項目は,「科学的だと思いますか?(実習後に+47.4%)」,「全般的に,どのようなイメージをもっていますか?(+39.3%)」,「将来,鍼灸を取り入れたいと思いますか?(+39.3%)」であった。伝統医学を学ぶ機会はさらに確保されることが望ましいが,時間や人員が有限であるという問題点も改善策が必要となる。本調査により,短時間の実習で有益な教育効果が示されたことは,鍼灸実習実施の重要性を示しており,他の医学部学生や医療系学部の学生に対しても同様に期待できる可能性を示している。

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© © 2023 一般社団法人 日本東洋医学会
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