2023 年 74 巻 3 号 p. 264-273
両側性局所性下肢浮腫患者を対象とし,鍼治療とそれに引き続いて行った鍼および漢方薬併用治療の効果を検討した。
初回治療時の鍼治療前後の計測で,下肢周囲径は29.1 ± 6.8cmから28.1 ± 7.0cm(p<0.01)と減少した。また超音波で測定した下肢皮下組織径は10.4 ± 3.8mmから7.8 ± 3.4mm(p<0.05)と減少した。下肢浮腫程度には変化はなかった。
続いて行った鍼および漢方薬併用治療では,治療開始時から効果判定時までに,踵部浮腫面積は24.1 ± 2.5cm2から3.0 ± 2.1cm2と減少を認めた(p<0.01)。また症状では浮腫と冷えの改善を認めた(p<0.05)。
鍼治療および,鍼および漢方薬併用治療は下肢浮腫治療に有用と思われた。しかし,本臨床経験ではコントロール群の設定が困難であったため,結果は推察にとどまると思われた。