日本東洋医学雑誌
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厚朴生姜半夏甘草人参湯の注腸療法が奏効した麻痺性イレウスの2症例
金木 美智子今田屋 章寺沢 捷年
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1988 年 38 巻 3 号 p. 163-169

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抄録

厚朴生姜半夏甘草人参湯の注腸療法が奏効した麻痺性イレウスの2症例を報告した。第1例は70歳の女性で, 10数年来の慢性関節リウマチ (以下RA) を基礎疾患として有していたが, 低血糖による昏睡状態で当院入院。意識回復後麻痺性イレウスを来たした。厚朴生姜半夏甘草人参湯を経口投与したところ奏効せず, 本方を注腸投与してはじめて効果を得た。第2例は77歳の女性。脳出血による血腫除去術後, 麻痺性イレウスが出現した。本例も厚朴生姜半夏甘草人参湯の注腸療法でイレウスの改善をみた。イレウスに対する漢方治実療の報告は多いが, 注腸療法による症例報告は稀である。本治実療法の意義について, 文献例も含めて考察した。

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