日本東洋医学雑誌
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Oddi 括約筋に対する小柴胡湯・五苓散・当帰芍薬散の作用の相違
術中胆道内圧測定による研究
関 正威藤岡 正志羽田野 隆池田 宏
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1993 年 43 巻 3 号 p. 395-402

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抄録

胆嚢結石症の女性患者に小柴胡湯, 五苓散ないし当帰芍薬散を術前に服用させておき, 手術中に胆道内圧測定を行った。小柴胡湯と五苓散の場合には灌流圧が有意に増加した。これは胆道内の流量負荷に対して Oddi 括約筋の圧感受閾値が低下したことを示す。この現象は五苓散群の方に一層著明な傾向があり, 十二指腸液が経乳頭的に逆流するのを防ぐと考えられる。減衰曲線に関するパラメータ (T1/2, T1/4, T1/5) は, 小柴胡湯群のみで短縮しており, Oddi 括約筋が有意に速やかに弛緩することを示した。この現象は胆汁の鬱滞を防止すると考えられる。小柴胡湯や五苓散の Oddi 括約筋に対するこれらの調整機能は, これらの方剤が胸脇苦満や過剰に貯溜した腸管液に用いられる主な理由の一つと考えられる。当帰芍薬散は Oddi 括約筋に対してそのような効果を示さなかった。

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