日本東洋医学雑誌
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紫雲膏による重症熱傷治療の1例
山田 輝司鍋谷 欣市李 思元入村 哲也中田 芳孝加来 朝王川口 敏樹福島 淳一
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1993 年 43 巻 4 号 p. 545-549

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抄録

熱傷の局所療法には冷却, 軟膏, クリームなどによる処置や植皮術があり, 熱傷の程度とその時期により使い分けられている。熱傷の初期治療上の重要な点は瘢痕ケロイドを残さない状態で治療する事であり, 漢方薬では紫雲膏がよく用いられているが, 重症熱傷に対する治験例の報告はほとんど見られない。今回我々は18歳男性で躯幹背部から下肢にかけての熱傷面積が36%, 熱傷指数 Burn Index (B. I.) は14%の重症熱傷に対して局所療法として紫雲膏を使用し同時にシルノミーサルファダイヤジンクリームと比較検討した。その結果, 創部はどちらもケロイドを残さずほぼ同様に治癒した。疼痛については, 紫雲膏処置側のほうが僅かに軽かったが, 著明な差はみられなかった。〓痒感については紫雲膏処置側のほうが明らかに軽かった。

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